小玉ユキ『坂道のアポロン 5』


［STORY］
60年代後半、九州。転入生の薫(かおる)は不良の千太郎(せんたろう)と出会い、ジャズを通じて友情を育む。進級した薫と千太郎は、別のクラスに。ある日、千太郎が他のバンドに参加すると知った薫は、辛い過去を思い出し、彼を突き放して…!?

［収録作品］
坂道のアポロン(5)/天井娘
（ amazon商品説明より ）


以下、ネタバレ注意。

[0回]

坂道のアポロンは私に音楽の楽しさを思い出させてくれる。


松岡くんと文化祭でロックバンドをやる事になった千太郎の話を、薫は聞かないでいた。

過去、転校する前の学校での友人たち。約束したのに来なかった手紙。
作り笑い。
無理に周囲と合わせて吐いてしまったこと。
あのときと同じだと自分に言い聞かせて。


文化祭当日、
電気系統の故障で演奏を中断した松岡たちのバンド、《ザ・オリンポス》。
実行委員として現場確認に向かった舞台裏で、バンドメンバーの丸尾と千太郎の話を偶然聞いてしまった薫。
薫を指す“相棒”という言葉。
もう一緒にジャズはできないと思っていたのに。千がどんどん離れてしまうと思っていたのに。
小さい薫の元に届いた手紙のコマがすっごく印象的。
届いた手紙もちゃんとあったんだ。


薫が独断で始めたピアノ演奏から千太郎とのセッションが始まり、会場は騒然。
言葉を交わさずとも二人は仲直りし、生徒達の関心をもかっ攫う。


セッション内容は律ちゃんの大好きなサウンド・オブ・ミュージックより「マイ・フェーバリット・シングス」（薫はその時まで忘れていたが、二人で直前まで練習してそのままになっていた曲でもある）から始まり、
勢いづくドラムに対抗して、「マイ・プリンス・ウィル・カム」。
此方は律子への告白のときの曲だが、千との共演により激しい演奏へと変わっている。
そして最後に二人の始まりの曲「モーニン」。
漫画版ではここから立って演奏する薫が印象的。

↓アニメ7話でのシーン



個人的に嬉しかったのは、
二人が仲直りして満足しておしまいにするんでなく、
律子も入れて三人での関係を取り戻すところ。
やっぱり三人でないと！(^ω^)

律子と手を繋いで三人で逃げるところたまらん(^ω^)


文化祭後女の子にモテモテになる薫に対して、
千には男がぞろぞろついてきてたのは面白い(^ω^三^ω^)ｗ


今回は淳兄が突然フーテンのナリで東京から帰ってきて
実家から勘当されたり、色々あるんだけど、
千にとってみれば
大好きで憧れの淳兄が何故か突然全てを捨てたように変わってしまったこと、好きな女性がその人を好きだと気づいてしまったこと、
その彼が彼女を大切にしてないことに腹を立てたりなど、色んなことが一気に来て大変だったろうと思う。
ましてや、ボン（薫）のこともあったしｗ

大好きな女性の想いを無碍に扱うなと怒っていた時は良いが、
二人の関係を突然知ることになってしまった時に
自分の想いがわきあがってくる、あの感じがとてもつらい。


「あいつには…こがん形で知られとうなかった…」と言う淳に対して、
「……でも 仕方ないわ いずれは…わかることだもの」と言う百合香が印象的だった。

千と淳には二人で過ごしてきた時間や思い出が沢山あって、
いろんな想いがあるはずなんだけど、
二人と付き合いの浅い百合香さんはそりゃそんなこと知らないよなぁと思うし
幸せ絶頂にいる者の発言にも聞こえるし
でも女の人の言うことっていつだってどこか現実的というか
そういう生き物なのかもと思ったりもした。

どちらにせよ、淳兄と千太郎の関係が
これによりきっと少し変わってしまうのだろうけれども、
友情だけは壊れないでいてほしいなあ。

そして、ひっそりと淡く芽吹く律子の恋心。



◆巻末短編は「天井娘」。

ダイエット薬によって重力が反転してしまった下の階の女の子。

この人はほんと独特の雰囲気を持つ漫画を生み出すひとだなあ。
これもすき(^ω^)


本編はアニメで見たけど、コミックスで読んでも本当面白くて、すっごくおすすめです(^ω^ω^)

読んだことない方は是非！


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